帰ってきた答案?

6日のお茶事に頼まれたお弁当27個、心を込めて作らせていただき、愛想のない紙の弁当箱の蓋には薄墨で「蓬」の字を一枚ずつ手書きで書き、庭のヒバの葉をのせ、銀の水引でしばり献立のメモをつけた。
何の飾りもない蓋がそれだけで生き生きしだした。
そして、庭の柿の葉で酵素玄米を包み、松の葉に、銀なん2粒刺して柿の葉の上に乗せた。
素材を生かした野菜のみの薄味の惣菜は、前日から立ちっぱなしで仕込み、当日も朝早くから一人黙々と取り組んだ。8時半にボランティアを買って出て下さったおば様達が、素敵な手作りのエプロンをつけて来て下さった。
私の指揮の元和気あいあいと作業は進み、予定の時間前に27このお弁当完成。
そして、八剣山の麓の会場までお届け。そこの会場のお茶室のしつらえの素敵なこと。
なんというセンスの良さ、凛とした空気が流れ、品のよい雰囲気、ここにずっといたいという思いを後に、外の東屋でお煎茶の接待を受けた。そこへ、何やら荷物を運びこむ髭のおじさま。「あの方は?」今日のお茶事の後に、ラブフルートを吹いて下さる方方とか。ラブフルート?初めて耳にした。
木で作ったフルートだそう。それって聴いてみたい!と思った私。
又、会場に入って、訳を言っておじさまからcd2枚を買わせていただいた。
そこへ、流山からいらしたという大先生とばったり。
「ああ、あなたが今日のお弁当を作って下さった方なのね」ほんの5分程の会話だったけど、そのお茶事に使う「ばんばら茶」という自生のお茶を、私の師である東城百合子先生が、事の他お気に入りで「このお茶は薬草よ」とおっしゃっているとかで、東城先生とのご縁繋がりで、私がお弁当を作らせていただくことに繋がったと、わかった。
気さくで品がよくて素敵なその先生に、ラブフルートがつないでくれた。
あれから1週間、お世話して下さった方と、なかなか連絡が取れず、あの弁当が、どんな評価を受けたか全く分からないまま、日にちがたった。そして、やっと電話が繋がった。
「お母さん」と彼女は私をそう呼ぶ。お客様達はたいてい「あーちゃん」というのだけど、お母さんと呼ぶのは、彼女が初めてだ。「お母さん、素晴らしかったです。まず、あの蓋の字にお客様が手書きで、一つずつ違う字体に気がついてまずびっくり。中をあけてまたビックリ、食べて又ビックリ・・・・・・」
いやいや、予想外のおほめの言葉に、ああ、合格したんだ、と嬉しさがこみ上げてきた。
こんな、又とない機会を与えて下さったことに感謝でいっぱい。与えられたからこそ、私の中に眠る何かがはじけて色々なアイディアが沸いてきて、大変だったけどワクワクしながら作らせていただいた。
何でもやってみるもんだわと、又しても新しい発見。
手伝ってくれたyっちも「ああ、よかった」と内心心配してくれていたみたい。
何より「こんな嬉しく楽しい機会を与えてくれてありがとう。最高に幸せ」と喜んでお手伝いして下さったおば様たちには、感激。電話で喜んでもらえた旨伝えると「ほら、やっぱり。私達だってあのお弁当見た時、歓声をあげたくらいだもの。それは感動するよ。よかったね。私も安心したよ。ありがとね」又こんな機会があったら、手伝わせてね、と。
今時こんなよい人達いるかしら、というくらい素敵なおばさまたちだった。
というわけで、学生時代ずっと試験問題が苦手だった私は、生まれて初めて「満点」をもらったようなそんな感じ。ワーイ、嬉しいなーーーー!

昨日、hさんが岩見沢から生落花生を買ってきて下さった。お金を払うと言っても、どうしても受け取ってもらえなかった。「お礼の気持ち」とhさん。
先日の東城先生の一泊の講演会に、私に勧められて参加し、それが彼女にとって大きな気づきだったそうで、涙が止まらなかったと。
彼女の中に、25年前の自分をみているみたいだった。
いただいた落花生を塩ゆでしたら、ベトナムでリヤカーに山盛りに積んで、まだ湯気があがっていた落花生を買って食べたあの時が蘇ってきた。
生まれて初めて、茹でた落花生を食べた感動が、鮮やかに。
よって、今週いらっしゃるお客様は、茹で落花生を食せる幸運な方ですよー。