かすべのぬた

かすべは生きのよいのでなければ駄目なので、小樽に行って生きのよいかすべにあうと、よし、ぬたを作ろうと思うのです。余別に生まれ育ち、ニシン場の娘として、漁業組合の組合長の娘として育った母の得意料理の一つで、生前母に手ほどきを受け、今では私も母程ではないけれど、美味しく作れるようになりました。
酒の肴にはぴったりのぬたは懐かしい母の味です。作り方はいたって簡単、かすべのみの部分を包丁でこそげとり、それを酢につけ、しばらくしたら水で何度も洗い絞って味噌と酢と砂糖の三杯酢に漬ける、ただそれだけ。コツは洗剤を入れたみたいに泡だらけになる酢につけたかすべをよく洗う事。洗わないと生臭くておいしく出来ません。
母が教えてくれた魚料理は、多分、海育ちの人でないとわからないかもしれない、ちょっとしたコツがあって、私は今度孫達に伝えていかねばと思っています。