出逢い

その方は。琵琶奏者とか。
どうしても私にあわせたいと何度も言って下さる方が、やっと都合ついてお連れ下さった。
御自分は音大出てピアノ教師だったのに、どうしても琵琶が弾きたくて子供連れで、東京に通って、琵琶奏者になられた方。
琵琶を弾きながら、耳なし芳いちの語りをしたり、色々な楽器とコラボをしたり、薬膳料理の先生だったり、まだ色々お持ちの不思議なお方。
亡き御主人が初代佐々木考の一番弟子だったとかで、きっと知らなかったけどその三味線私も聴いていたのかもしれない。
姑が民謡やってて、いつも佐々木先生に伴奏付けていただいていたから。
どなたかが、孫娘の全国優勝のはなしをしたらしく、しきりに会いたいわ、とおっしゃる。
あいにく出かけていて、いない。
帰り、外に見送りに出たら、なんとyっちが孫を乗せて帰ってきた。
あら、不思議。
タッチの差で会えた。
車から降りてきた孫、いきなり「アー会いたかったのよ」と知らないおばさんに言われて、キョトンとしている。
「あのね、力入ってるでしょう?力抜いてね」
私も前日、あいやぶしが余りにもきつい音なので、三の音、もう少し優しく弾いてみて、ってアドバイスしたばかり。
聴いてもいないのに、何故かわかるかのお人。
「三味線はね、歌づけが大切だからね。私太鼓も叩けるし、歌も歌えるから、困った時はいつでも力になれるからね。主人の残したものも、あなたに貰ってもらいたい。10月にいろんな楽器とコラボするから、あなたも三味線持ってきて、一緒に弾いて・・・・」
いきなり会ったお方からの、矢次早の言葉に驚きながらも、大喜びの孫ちゃん。
「明日、初めて本格的にプロの歌手の方にあいやを合わせるので、超緊張してるんです」
そしたら、両手を握ってパワーを入れて下さった。「大丈夫!」と。
なんという御縁だったのだろう。
歌づけをこれから勉強したいけど、誰にどうやって?と先が見えない状態だったから。
救世主現る!かも。
そして、もうおひとかた、着物の着付けの先生と紹介していただいたけど、何かほかにもやっている雰囲気。
ここで、私の好奇心のアンテナがぴぴぴーと。
「カフェやってます」「どこで・?」「小樽です」「小樽のどこ?」「天狗山のふもとで」「最上町のどこらへん?」
いやいや、聞いて見るもんだわ。
大野君ちから入ったところで、週末だけのカフェやってるんだって。
実家のすぐそばだよ!
椿庵っていうんだって。
妹にきいたら、名前だけ知ってる、って。
行けよ、お前、そんな近くにあるんだから、って思うけど、妹は、引きこもりみたいにどこへもお出かけしない人だし、興味もないらしい。
ま、いいか。
では、私が行ってみましょうか。
というわけで、5人のうち2人がそういう御縁を持って来て下さったのさ。
これだから、人生楽しいね。
「こうやって沢山の方とお会いできるのは、今生で会うべき人にすべて会って、もう、多分生まれ変わらないようです」と言った私に「私はもうこれでサヨナラです。金輪際、人間にも動物にも植物にも何にも生まれ変わらず、宇宙の塵となります!」
ああ、漠然と思う私とは、違うんだ。決して、とおっしゃった。
凄い人に会っちゃった。