積丹

積丹の来岸(らいきし)の小高い丘にある私の実家のお墓に、今年は5人の少人数で行ってきた。
来岸の海を眼下に見下ろせる素晴らしい場所に立つ先祖のお墓。
私が物心ついてから、お産の時を抜かして殆んど毎年お参りに行っている。
昔はもっと山の上にお墓があって、山登りのようなお墓参りだった。
お婆ちゃんが元気よく登って行った姿が思い出される。
そして、今の場所に移転してからは、父を息子がおぶって登っていた光景、母の背中を息子が支えながら登った光景、父を納骨しようとしたら、それまで晴れていた空が急に真っ暗になり、滝のような雨が降り、びしょぬれの中で納骨し、きっとこのお墓にはいりたくなかったのねえと皆で言い合ったあの光景、父は婿だったし、お婆ちゃんとはそりがあわなかったから、きっと最後の抵抗だったのではないだろうか。
沢山の思いでがあるこのお墓も、母を最後にもう入る人はいない。
せめて、私の子や孫には、我々亡きあとも守っていくように、伝えていこうと思っている。
来岸のお寺の前住職と母が懇意にしていたこともあり、お参りに行くと、必ず練りウニをお土産にくれた。親戚周りをすると、どこの家も練りウニをお土産にもたせてくれたっけ。我が家の夏の風物詩は練りウニだった。
お墓参りと親戚周りを済ませると、潮食堂で生ウニ丼を食べたり、浜で持参したお弁当を食べたり年によってまちまちだったけど、そのあとの海水浴は楽しみだった。
うちの子どもたちもいつの間にか潜りが上手くなり、ウニやアワビなど今では密猟になるけど、昔は規制も緩く、親戚も沢山いたので、結構ウニ、アワビを採って食べていた。
今は見張り番の漁師さんがいて、なかなか厳しいけど。
でも今年の、海にはウニがうようよいた。
もう海で泳ぐなんて卒業と思っていたけど、何故か泳ぎたくなって孫達と一緒に泳いでしまった。
ちょっと離れた岩に、何とウニがびっしりとついている。
いいなあ、余別の海は。神威岩という通称おカムイさんのそばで、真っ青な積丹ブルーの海の中に抱かれながら、65歳になった私がそこにあることだけで、しあわせだった。
お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父ちゃん、お母ちゃんがそこにいて私と共にいるような気がした。

道東から2人の孫が別々に来て、別々に帰って行った。
やれやれ、やっと終わった、でもないか、まだ中学生が我が家に居候中だった。
7人の孫達が、出たり入ったり、ご飯に勉強に、遊びに、買い物に、なんだかあまりにも色々あって思い出せないくらい、騒がしい日々だった。1日だけ誰もいない一人の時間があったのに、結局ぼーっとしてしまったくらい、疲れた日々だった。
夏休み狂想曲もあと一週間だ。
あああああーーーー。