ドリアン

今朝、ゴミ出しに外へ出たらプーンと甘い匂いがした。息子の車のそばを通って、それがドリアンだと気がついた。スゴイ!5メートル以上離れている外なのに、匂いが漏れている。
数日前、箱に入ったドリアンが外のテーブルに置いてあった。
聞くと会社の社長にプレゼントしてもらったけど、yッちが臭いと文句を言うので、外に置いたんだと。ふーん、そうなのか、と納得しての今朝。何で車に?結局外は雨だし、家は追い出されるしで、居場所がなくて車に乗せてあるらしい。
ドリアンを初めて食べたのは、マレーシアのクアランプールだった。
もうかれこれ13,4年前息子とマレーシアに行った時、季節外れのドリアンを見つけた息子は、大喜びした。
アジアに放浪の旅に出た息子は、最初の訪問地マレーシアに2,3カ月滞在し、その時ドリアンにはまって、毎日ドリアンを食べていた程の、ドリアン狂。
マレーシアの公共機関には「ドリアン持ち込み禁止」の札がかかっているほど、その放つ匂いは強烈なのだ。
しかし、ひとたび口に含むとその美味しさにはまる。
まるでアイスクリームのようなとろーんとした、えもいえぬ美味しさなのだ。クアランプールの街かどで、息子に促されて渋々口にした時、その魅力に私もはまった。
外観はとげとげだけど、その中身は本当に素晴らしいおいしさのドリアン。
日本ではめったにお目にかかれないけど、たまにジャスコとかで売っているが、結構な値段で手が出ない。
おいしいけど、においがきついので鼻をつまんで食べるか、息を殺してたべるかだ。
何でも、ドリアンとアルコールを一緒にとると死にいたるとか。ビールと一緒に食べて死んだ人もいるらしい。久しぶりにドリアンを見て、あのマレーシアでの夢のような楽しい旅を思い出した。
タンピンという小さな町まで列車に乗って、バスに乗ろうと歩いていたら「ねえ、どこ行くの?」と美人のパジェロに乗ったお姉さんに声をかけられた。
「マラッカ」「あら、私、マラッカに帰るの。乗ってかない?」
彼女の名は「アナヤップメイメイ」何のお礼も出来ない、そうだ、歌だと私は3曲も日本の歌を車の中で歌った。それがいたく彼女に気に入られた。「お母さん、素敵!かわいい!」と。
彼女との出会いが、今の私に大きく影響している気がする。
初めて会った外国人の我々を車に乗せてくれて、屋台でお菓子まで買ってくれ、しかも家に連れて行ってくれ、ママの家にも行き、夕飯まで御馳走になった。おまけに泊って行けと強烈に誘われ、それはおことわりしたけど、あの時の体験は今のホームステイ受け入れに繋がっている。
時々、アナは元気かしらと思いだす。
あのとき、絶対また遊びにおいでねと言われたけど、まだ再会は果たせていない。
でも、アナの大きな人間愛は、我が家に来る外国人達にも繋がっている。
久しぶりのドリアンにマレーシアとアナを思い出した。