芋煮

昨日のイベント「ようこそあったかい道」でのこと。
東北の人達が大好きな芋煮、その土地土地で味噌味か醤油味かの違いはあるらしいけど、里芋を入れるのだけは、共通しているらしい。北海道には里芋はあまりなじみがなく、食べるけど高いし、それより、ジャガイモの方が使われる。
私がスッポリ入れそうな大きな鍋に豚肉、人参、白菜、コンニャク、ごぼう、里芋、長ネギ等を入れて、味噌、みりん、醤油、酒等で味をつける。
この大ナベでもう数度も炊き出しやったというみちのく会のsさん、慣れた手であっという間に作っていく。我々おばさん3人は、あくまでも下準備のアシスト。
しかし、言われなくてもすることはわかるので、次々とこなしていく。
sさんが流石!と褒めてくれる。若い人に手伝ってもらうと、なかなかこんなふうにはいかないらしい。2時間もかからずに、200人分の芋煮完成。味見したら、美味い!sさんは3か所も講演を頼まれているとかで、まず、市民ホールに向かった。まるで、スターみたいだね。
我々の仕事が早く終わったので、隣りでザンギそばの下準備している蕎麦屋さんの手伝いをした。なんと、アツアツのそばの上に大きなザンギを2個ものせるザンギ蕎麦。さあ、いざ本番。沢山の人で溢れる会場、子供連れのお母さんの他にも、ご夫婦、親子、お年寄りと様々な避難してきた方々でいっぱいになる。
ザンギ蕎麦は大人気であっという間に行列ができる。隣の中札内カレーもまた大人気、焼きそばなど、30分くらいで売り切れ、我々の出したずんだ餅もまた完売、芋汁はじわじわと売り上げを伸ばす。大声で売り込みして、声もかすれがち。
しかし、我が息子、面白いこと考えたもんだと感心。
被災者の方が持っているのは、道という紙幣。芋煮は1000道、蕎麦は2000道、カレーも2000道、そして一般の方は現金500円とか芋煮は200円とか。
みんな、道を持ってあちこちで買い物している。
なかなかのアイディアだ。大人も子供も楽しそう。
今回のコンベンションセンターは会場が広くて、良い面とそうでもない面があったように思う。
大きな会になれば致し方ない手薄な面、こんなに大きくなればアットホームというわけにはいかない面も。
それでも、今までの経験から色んな人に声をかけ、色々なお話も聞けた。
長男が北区までお迎えに行って、車いすで来られた」お年寄りの御夫婦は、3年生のうちの孫と手をつないで「なんて、いい子なの。嬉しい」と何度も言った。「あんた、いい孫持って幸せだね」
聞けば夫婦2人きりで、身寄りはいないとのことだった。
車いすのお爺ちゃんは、お風呂にもはいれない、と後で息子に聞いた。何故?って。
やっと、福祉の手が伸びて、これから週1度大サービスに通えることになり、お風呂もはいれるようになるそう。
しかし、あしの悪いお婆ちゃんは、買い物にも出られないそう。
息子はこれから、時々お手伝いをさせてもらうと言っていたから、少し、安心。
こんなイベントがなければ、出会わなかったご縁。
今回私も沢山の方とご縁がついた。
1回目の時知り合った三春から避難してきたhさんが、私を見つけて抱き合って再会を喜んだ。
hさんから溢れるように出てくる話に色々考えさせられた。
そして、hさんが言った。「ゲンちゃんに私はどれだけ助けられ、支えられたことか。
最初に来た時、布団もなくて段ボールひいて寝ていたの。ゲンちゃんが布団を持ってきてくれた時、そのあったかさに泣きながら寝たんだよ。どんなに嬉しかったか。だから、ゲンちゃんの御恩に報いるために、これからもお手伝いしたいと思っているよ。本人には何度も感謝していると言ってはいるけど、お母さんからも、私がどんなに感謝しているか伝えてね」
住んでいた所に原発の影響で住めなくなって、御主人を残し、娘さん達と避難してきたhさん、床屋さんだったとかで、ようこそあったかい道1回目の時、お客さんだったクマさんと会って、感動の対面したっけ。その場に私もいて、もらい泣きしたっけ。
あのクマさんは、札幌からいわきに行ってしまった。
いわきから避難してくる人、いわきに避難する人、一体どうなっているのだろう。
皆の前で発表した方は、「過激な発言は控えてね」と息子にくぎをさされたらしい。何故か、イデオロギーを前面に出す会ではないから。
あくまでも、被災者避難者救援の会だから。
強烈な人達からかなりの圧力がかかるらしいけど、息子はあくまでも救援ボランティアからそれてはならないと、信念を持っているらしい。
政治家からも強烈なお誘いがあるらしいけど、あくまでボランティアに徹する覚悟のようだ。
hさんのような人の支えで、息子の活動も成り立っている。
そうそう、どこかのがん子さん、お嫁さんの誘いで、会場に姿を現した。
やったー、と心の中で叫んだ。息子の演説に聞き入っていたがん子さん、きっと、やっと認めたんだね。
やれやれ、男ってなんてやっかいで難しい生き物なんだろう。
色々、改善点もあるけれど、大きなうねりの中で無事に1年の締めくくりができ、多分もう今日から新しいスタートを切って走っているのだろう。
本来の仕事にやっと戻れたようだ。
私も結構な疲れで、今日1日ボーっとして過ごした。
ところが、夕方長男が具合が悪いと早引けしてきた。めまいと吐き気、頭の病気を疑い、病院行きを勧めるが、本人が様子をみたいというので、コンニャクシップ、足浴、梅醤番茶などまず手当をすると、元気になってきた。
それでまたどーっと疲れた。