猛稽古

三味線の追悼コンサートを15日に控え、昨日は江差、厚沢部などの地方組との総稽古、今日は札幌組のみの稽古と2日連続で数時間のお稽古があった。
例年なら、亡き師匠の叱咤に震えあがりながらのお稽古なのに、昨日は師匠のお兄さん先生が指導して下さった。
兄弟とはいえ、性格も生き方も信念も三味線の弾き方まで、すべてが違う。あたり前だけど。
42人の弟子が勢ぞろいは、圧巻だった。仲間が「こんなに沢山の弟子を残して、先生どうするの」と呻くように言った。ああ、本当に、この弟子達が、みんなどんなに戸惑っているか、悲しんでいるか、悔しがっているか、師匠はすべて知っているのに、もう我々と同じ世界にはいない。というこの現実。
しかし、そんな感傷を並べても仕方がない。あと1週間で舞台は開幕する。師匠のいない中で、なんとか成功させようとスタッフは不眠不休で動いている。疲れて目を窪ませている仲間を労わりながら、とにかく自分の持てる力を精いっぱい出そうと2日間、私もかなり力を込めて弾いた。
弾きながら、師匠はそこにいないけれど、すべて師匠が教えてくれた事を我々は今しているのだと、一人胸がキュンとなっていた。
猛稽古した甲斐あって、かなり良い音に近づいてきたけど、まだまだ、多分師匠は納得してくれないかもしれない。お兄さん先生が、「うん、よくなった、流石日本一のグループ」と褒めて下さっても、亡き師匠の厳しさに慣れている我々は、なんかすっきりしない。50人の弟子は、キャリアも腕も違う。上手い人と下手な人が交じって、一つの音を出すのは本当に難しい。
しかし、師匠のいない悲しみは、さておいて、この合奏をすることの出来る楽しさ、夢中になってこの難しいジョンガラを弾けることは本当に幸せ。
ここまで導いて下さった師匠に感謝感謝。
13年間、途中何度も休みながらでも続けて来れて、本当に幸せだった。

孫に振り回されているうち今年も、もう9日、明日から蓬ほう開店だわ、とびっくりして慌てて準備。
しばらくぶりにゆっくり台所に立ち、あれやこれや、まだ見ぬ人に向けてのお料理と下準備をした。
半月も休んでいたので、果たしてお客様があるかどうか・・・・。ま、今年もボチボチ私流でいきたいとおもいますので、よろしくお願い致します。

この2,3日福島原発からの線量が高いとかで、外に出るときは子どもにマスクをさせてと、息子達からメールがはいった。
新聞もテレビも、放射能が流れてますよーーなどとは教えてくれない。
知っている人と、知らない人がいるってこれどういうことかいな。
福島で、避難している人を、大袈裟とか、何で?という人が多くて、放射能を恐れる人が悪者になっているというのが現実らしいけど、メディアからも政府からも、何も知らされない我々は、ともすれば、今の現実を忘れて、なんでもないじゃんと思いがちになる。これって、福島の人達と変わらないかもしれない。
ここ数日、新聞に原発で避難している人の記事がのっているけど、北海道だから新聞で堂々とその現実をのせられるのだろう。福島では、多分、記事にはならないだろうと思う。何か、規制がかかっているときいた。
すぐに忘れてしまう日本人、放射能の怖さを忘れようとしているのか、これから沢山病人が出るかもしれないのに、一体何を考えているのだろう。テレビも震災を忘れたような、アホな番組が目白押しだ。
忘れないようにしましょう、あの3,11のことを。