第3回ようこそあったかい道

息子の発案から始まったこのイベントが3回目を迎えた。
今回はボランティアの参加ではなく、あくまで孫の三味線と七頭舞出演の付き添い。
しかし、厚別区民センターに行くと、明らかに人手が足りない。
私の持ち込んだ大量の食器も箱にはいったままだ。
早速、食器を箱から出して見本を置く。少しずつ人出も増え、食器を手にする人に説明したり他の品物を整理しながら見やすいように置き換えたり、持ち切れない品物に名前を書いて他の場所に置いたり・・・と仕事はいっぱい。
被災された方も初めての方が多く、中には2日前に宮城から来た人もいてやはり、何も物がない市営住宅に入って、愕然としたという。
「いやあ、電灯もなかったから、びっくりした」と。「とりあえず、今日誘われてきてみたけど、こんなイベントやってくれて、ほんとうにありがたい。何もかも足りないから、こんなにたくさんもらって悪いけど、本当に助かります」
「とりあえず、100円ショップで色々かったけど、あー、ここにこんなに食器があるのなら、買わなければよかった」「ほしいものはたくさんあるけど、帰ることを考えると、あまり物はふやしたくないのよね」等など。
「花瓶はないかしら?」あまりに荷物が多すぎて車に乗らず2箱置いてきた荷物の中に花瓶が入っていた。なんでも、亡くなった御主人に花を手向けるために欲しかったと聞いて、2,3個でも持ってくればお役にたてたのに、と後悔する。
車いすの息子さんを連れたお母さんは、障害者がいるとわかっているのに、普通の市営住宅を紹介され、びっくりしたとか。
流し台は高すぎて届かず、お風呂も高すぎて足が上がらないなどとても障害者が住めるところではなかったとか。
電気か何かの作業にきた業者が見るに見かねて市に電話してくれて、やっと身障者用の住宅に入れたとのこと。
福島からいらした方は、フェリーの中で「福島の人がきたら放射能ついてるかも」などとこれ見よがしに話しているのが聞こえたとか。
石巻からの方は「チリ沖地震の時、津波来るぞーといわれていたのに、大したことがなかったから、今回も大したことないだろうと、油断した」と。
今回もまた、色々なお話を伺って色々な方と知り合えた。
中に、「全国に被災者が避難しているけど、こんなイベントやっているところはないと思うよ。
これってすごいことだよ。しかも、行政ではなくて一般人がこんな素晴らしいこと始めたのは、全国的にもっと知らせた方がいい」「本当に北海道の人はあったかい。優しい人ばかりで感動してる」前回いらした方が、私の作ったふき味噌が美味しくてすぐに食べちゃった。また欲しいわと言っていただいた。
なんでも、札幌市長が来るとのことだったけど、残念ながらおみえにはならなかった。
市営住宅は上物だけで、何も物がない所に、何も物を持たないで入られた方がどんな気持ちでいたかなど、知っておられるのだろうか?
私の周りには、その話をすると皆さんびっくりする。
時間がたち、少しは改善されたかしらと思っていたけど、そうではないとはっきりわかった。
市の財政も厳しいから、無理なのかしら、せめて電気やストーブくらいは最低でも必要ではなかったか?
今朝、大阪腑の橋本知事の話をテレビで聞いた。「住宅を用意して、家財道具も揃ったところに入っていただいています」私、思わず「えーーー」と声が出た。
そうなのか、他の都市ではそこまでしているのかとちょっとショックだった。
札幌市はできないのか?
たかが中小企業の若手経営者が自分の利益を全く念頭に置かず、むしろ、仕事を投げ打って走り回り、頭の固いおじさまたちからいじめられ、それでもめげずに今度は被災者がこれからこの北海道で希望を持てるように、先を見据えたイベントをしようとしてしている、しかもまた、自分の小さな店の半分を「みちのく会」の方のために無償で提供するのだと。
我が息子ながら、そんなことまでして、自分の仕事や家族は大丈夫かいな?と思うけど、被災者の悲しみを私以上に感じてきたのだから、まあ、精一杯やってもらいたい。
札幌市の議員さん、お金持ちの大企業の方たち、わからんちんのおじさまたち、お金のない若者が、純真な気持ちで走り回っていることに、ほんの少しでも理解してあげて。
まだ若造で至らないところもあるけれど、今回のこの日本の一大事を一緒に乗り越えようとしていることに、どうぞ、他人の事ではなく、自分の事として考えて欲しい。
避難された方の、生の声が悲鳴が少しでも届きますように。

そうそう、今回は食事のサービスはプロの方たちの提供でした。さすがプロ、蟹たっぷりの茶碗蒸しも、鶏肉料理も、卵スープもどれもこれも本当においしく、皆さんもおいしいお料理に喜んでおられました。御馳走様、そして、ありがとうございました。ずーっと立ちっぱなしで給仕していた板前さん、お疲れ様でした。
前回私達素人のご飯を食べたある方が、今日の料理もおいしいけど、この間のしゃけまぶしおにぎり最高だったなあとyっちに言ったそうです。わーい、うれしい!

明日、早朝青森へ出発です。
さあ、緊張してきました。
あの、優勝の感動をまた味わいたい!
いってきまーす。