水無海浜温泉

有珠の家を昼過ぎに出て、椴法華の水無海浜温泉に着いたのはもう夕方6時を過ぎていた。
行き当たりばったりの無計画、足の向くまま気の向くままの気ままな旅、しかも車で寝られるように準備万端だから、本当に気楽で、さてどっちへ向かうか、いやあ、この時間ならやっぱり南だなということで、南下した。
だからまさか椴法華にいけるなんて思っていなかったので、目の前に憧れの海に繋がっている温泉を見たときは、興奮した。素っ裸になってドブーンと入りたかった・・・が冷静沈着な連れ合いが「ヌルイゾ、風邪引くぞ、時間ないぞ」というので、泣く泣く諦め、足だけ温泉に浸かった。
感動!海の温泉だよ!海とは石を囲んでいるだけで、多分体ごと浸かったら海に入っている感覚ではないかしら。少し残念だけど、ここにこれて自分の目で見れて、足も温泉に浸かれて満足ーー!
連れ合いも私の興奮に同情したのか、すぐそばにある国民宿舎に泊まってもいいぞと言う。しかし、残念ながら、満杯と断られた。我々と行き違いに、中年夫婦が浴衣がけでやってきたから、「もう誰も来ないからご夫婦で水入らずで入られたらいいですよー」「そうね、そうしましょう」と遠くで振り向くとお二人で幸せそうに温泉に浸かっていた。なんかいい感じ。でも、もう一組ご夫婦が温泉に浸かりにやってきた。まあ、どうしましょ。二組のご夫婦が入っているのを想像してなんかほほえましかった。
結局この日は函館に泊まる事になり、なんとなく湯の川温泉を走っていたら、かもめホテルなどというなんだか演歌に出てくるようなネーミングのビジネスホテル発見、安い!素泊まりで、なんと4000円におつりがくるし、温泉付きだというので、即決定。近所の居酒屋で前日解禁になったマイカの刺身を酒の肴にキーンとひえたビールでカンパーイ!いやいや、イカさんには申し訳ないけど、足もグニョグニョ動いていて、わしはまだ死んでないぞーと言わんばかりの自己主張、しかし、うわーとかいいながら、うん、うまい!と食べちゃうなんてね。
性懲りもなく翌朝も朝市の食堂で、わしは生きてるぞーのイカさんをまた食べた罪な私。
朝早くから行動しているので函館山もすきすきで、貸切状態。函館山なんて次男が中学1年生の時以来だから23年ぶりかな。
あんなに近くに津軽半島下北半島も見えるとは。
連れ合いが言った事がないというので、立待岬にも行った。
ここにきたら、私の18番「立待岬」を歌うしかないでしょう。
大声で唄いかけたら、誰かがそばによってきたので、流石の私も小声になった。
ここで楽しい出会いがあった。
新潟ナンバーのいかにも車中泊中の車発見。同年輩のお父さんがとってもいい感じの人で、すっかり話し込んでしまった。連れ合いも色々聞いたり教えたり。
ご夫婦で9月まで北海道をのんびり気ままに走るのだそう。
息子に熨斗袋とお金を渡し、何があっても帰らないからと言ってきたのだという。
2台の自転車とカヌーも積んで遊ぶ気満々のとってもいい笑顔のご夫婦だった。
ご無事で楽しい旅をとお別れする。連れ合いが「あの父さん、きっと今まで大変な仕事をこなしてきたんだな。だから、今、あんなにいい顔しているんだな」と言った。爽やかなステキなご夫婦に出会えて、我々にも爽やかな風が流れたようだった。