ハーレム生活2日間

ハーレムのような2日間、でも飽きたので4日目には、台所に立った。
何のこっちゃ?て?
凄まじい痛みと共に、私の体は自分の意志で動かず、寝るも起きるも一大決心。
雪かきを2日続けた2日後、ちょっと体の向きを変えただけで、右のウエスト部分がピッといった。あれ?何だ?おかしいぞ、やったか。すぐに整体へ。
所が、翌日、私の体は異常事態に。2階から降りられない。でも、オシッコしたい。痛みに呻きながらお尻でずって階下へ。オシッコは間に合った!しかし、ネグリジェの裾が便器の中に入ってしまった。茫然自失。
だあれも居ない家のトイレの中で、どうするべきか、ゲーテのように頭を悩ました。
立つのもやっとの中で、仕方ないので全部脱いだ。だれも喜ぶ人の居ない中で、全裸の私は取り合えず、寝巻きは着替えた。そこまでの動きで、100メートル走ったように疲れ果てた。
よりもよって、こんな時にだあれも居ない。yっちに助け舟をだしたけど、「今保育園。何?」この電話をかけるだけで、どんな思いをしたかなんてyっちにはわかるまい。腹を立ててもしかたないのに、うーん、もう、肝心な時にいない!なんてムッとし、また一大決心をし、孫に内線をかける。やっときてくれた孫なのに、「あけてー」とドアの向こうで叫んでいる。連れ合いが鍵をかけて出かけたのだ。合鍵がないと。ああー、と絶望が走った。「まってて。時間がかかるからね」と大声で孫に言い聞かせ、またまた、一大決心して玄関に出る。
我が家の茶の間から玄関までがまるで、はるかかなたのように感じる。10歳の孫が救世主のようだ。
彼女の肩につかまって、パンツをはかせてもらい、靴下も履かせてもらい寝るのを手伝ってもらい、疲れ果てて横になった。「他にすることないかい?なんでもするから言ってね」おう、なんて優しい娘、赤ちゃんの時、オシメをかえ、可愛がって育てた甲斐があった。
あくる日、連れ合いがビックリするような事をした。茶碗を洗い、洗濯をし、それを干し、パンツと靴下まではかせてくれた。前代未聞、天地がひっくり返るくらいの驚きである!
みんなして優しい言葉をかけてくれるは、ご飯も作ってくれるは、お掃除もしてくれるは、口だけ元気な私はあごで皆を使い、これってハーレムじゃわいと腰の痛みを除いては、快適快適。
トイレに立つと「一人で出来るか?手伝うか?」いえいえ、時間はかかるけど、それだけはなんとか自分でやります。
しかし、人間の体の自然治癒力ってすごい!
2日間は痛みに悩まされたけど、3日目は、すこしずつ傷みが薄らぎ、楽になってきた。私の腰の部分が体の中で、元に戻っていくような感覚。yっちにしてもらった枇杷温灸がかなり効いた気もする。
今まで、一週間も寝込んでいたのに、なんと3日で動けるようになった。
辛い痛みの中で色々考えた。これは私の長い腰痛歴の集大成だと決めた。
いまだかってない痛みと、連れ合いのいまだかってない優しさとを経験したので、もうこれで終わりにしようと勝手に決めた。
それに、私はしてもらうより、するほうが好きだとはっきりわかった。
優しくされるのは嬉しかったけど、2日で充分堪能した。
台所仕事ができる幸せ、トイレに一人でいける幸せ、すたすた歩ける幸せ、パンツも自分ではける幸せ、日常のなんでもない生活が私の中で輝いている。
寝ながら考えていた。もし、このまま、動けなかったらどんなに辛いだろう。世の中には自分の意志で出来ない人がたくさんいる。そんな方たちは、どんな思いをしているのだろう。普段動けるのに、片付けないで散らかしていた寝室の隅、あっちこっちが気になり、反省しきり。
今回の腰痛で、また大きな学びをさせてもらった。
感謝、感謝。