セミプロ大工

玄人はだしという言葉があるが、私の連れ合いは、大工にかけては、玄人はだしだ。
昭和45年に兄が自分で家を建てた時、手伝って以来少しずつ腕を上げ、自宅のサッシはもとより、壁を取り払い二つの部屋を一つにするというリホーム、息子が店をやっているときには、その改装工事、棚造り、物置、カウンターテーブルなど作り上げた。仕事は実にまめで仕上げはプロ顔負けだ。大工仕事をしている時の連れ合いは、惚れ惚れするくらい、男らしくかっこいい!なーんちゃって。
そんな腕があるのに、なんか退屈そうにしているので、息子の家のリホームに一役買ってもらうことにした。
先日のインフルエンザ騒ぎの時、計画通り工事着工。二軒長屋の壁を取っ払いワンルームにするという、口で言うのは簡単だが、やってみるとなかなか大変な作業。6歳児と腰の悪い母ちゃんをてこに床はがしに始まり、ビニールを床下と床上に引き詰め、仕上げにコンパネ。そして、ベルリンの壁ならぬm家の壁壊し開始。これもなかなか大変な作業。夕方になって息子が帰宅し、てこになりと結局3日で工事完了。広くなった部屋に子供達は大喜びで走り回り、ああ、お疲れさんといったすぐ後から、今度は事務所のトイレが流れが悪いと、点検するとコリャ、大変、何か詰まって溢れそうに。そして、排水溝をまくり、穴を掘りと2人では無理と、何でも屋をやっている息子に助けを求め、専門家もきてくれて、計5人が助っ人に。原因が分かりやっと工事が終わったのは、8時を過ぎていた。そして、翌日、今度は事務所の流しの詰まりの修復。まる2日格闘してやっと終了。息子は、捨てるフライパンで糞尿をかき出したりして奮闘したせいか、右手がしばらく震えていたらしい。そして、しばらく、カレーと味噌汁はノーサンキュウと。めったに人を褒めない連れ合いは「いやいや、tもたいしたもんだ!」と本人を目の前に褒めた!
息子も「いやあ、普通のサラリーマンじゃあ、出来ないよね」とこんなに色々な仕事が出来る環境にあることをあらためて感謝した様子。
かねてより「うちの息子は頭が良くていい仕事にも付いて親孝行」と自慢していた義妹が工事の最中、たまたま立ち寄り、tを絶賛した。「あんた、すごいねえ。なんでもできるんだねえ。うちのttには絶対出来ないよ」だって。
彼女も連れ合いと流石兄妹、人を褒める性格ではなく、むしろくさすほうが得意分野の人。
ほう、兄妹そろってtを褒めたわい。
tは汚い作業を嫌がらず淡々と、いや、むしろ楽しげにやっていた。
流石、連れ合いの息子だ。
ま、この私が生んだんだけどさ。
この一連の仕事が終わり、今度は庭のさくらんぼの枝払いといぼた刈。
手伝い最中に、腰がコキッと、「ああ、やった」と思ったが、すぐ骨盤運動をしたせいか、翌日には治っていた。やれやれ。実にお疲れの一週間だった。